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嫁 死ねばいいのに
旦那 死ねばいいのに って検索してたこいつ
202006<<12345678910111213141516171819202122232425262728293031>>202008
バトル
このご時世、労働基準法に違反しているなんて会社で言えるわけがない。
今日も15時間働いて帰ってきた。
帰ってシャワー浴びてカップ麺(シーフード)を食べて、明日も早く起きないといけないから今日はゲームはお預けか・・・。

そんなことを考えながら玄関を開けると、知らない靴があった。
うちはダメ嫁のせいで「何人住んでるんですか」ってほど靴が散乱しているのだが、そのほとんどはさゆりさんのものである。
ブーツからサンダルからスニーカーから、さほど広くない玄関にバラバラに散らばっている中、なぜ俺が知らない靴があると思ったかというと
それが男物の靴だったからである。

相変わらず電気が点けっぱなしのリビングで少し考えてみる。
物音は聞こえない。人の気配もしない。なんか嫌な予感しかしない。

部屋のドアに手をかけて、そーーーっと開けてみた。
ゴミだらけの部屋に、犬一匹、奥さん一匹、知らない男一匹。
( ゚д゚)ポカーン

犬が気づいて吠える。さゆりさん起きる。

「え・・・なにこの状況。」

俺はそう呟くしかなかった。

だってさゆりさん、俺と寝ないんだぜ?
一人で寝たいって言って、俺が布団で寝るとソファで寝るんだぜ?
なんで知らない野郎と一緒に寝てんだ?

知らない野郎はピクリともせずにグーグー寝ている。
普通ここは修羅場である。
しかし起き上がったさゆりさんは目を擦りながらいつも通りだった。

「あー・・・よく寝れた。飯はねーぞ。」

飯がどうとかそういう話じゃないよね。

「飯の話なんかしてねーだろ!てめーこっち来い!てめーも起きろ!」

野郎を蹴飛ばしたが、一向に起きる気配はなく寝返りをうっただけだった。
リビングまでさゆりさんを引っ張って問い詰める。

「どういうことだこれ!」
「何が?」
「誰だっつーの!」
「知り合い。」
「なんでここにいてお前と一緒に寝てるんだよ!」
「うるせーよ、がなんな。」

思わずビンタしてしまった。
何度でも言おう、普通ここは修羅場である。
けっこう思いっきりビンタしたら、さゆりさんは3秒黙って俯いて

鼻狙って右フックしてきた。容赦ない。

情けなくもブホォッと思わず屈みこむが、俺はこのパターンを知っている。

次の攻撃がすぐくる――

痛みを堪えて案の定膝蹴りをかまそうとしていたさゆりさんを捕らえてぶん投げる。
危ないとこだった。
勢いよく投げられたさゆりさんがカウンターテーブルにダイブして、ガラガラガッシャーンって音をたてる。

さゆりさんがひどく咽ていた。
仰向けに倒れたまま動かない。
俺は鼻を押さえながらそっと近づいてみる。
さゆりさんの手前まで近づいた時だった。

一瞬で手を使って起き上がり様俺の腹を両足で蹴る。
反動の衝撃はけっこうきくもので、今度は俺が反対の棚に思い切りダイブした。
ダイブしながら思ったのは「この女、ジャッキーチェンか」だった。
俺とさゆりさんの攻撃でリビングはぐちゃぐちゃである。
割れる物は割れて、落ちるものは落ちて、色んな破片が散乱している。

さゆりさんが俺の前に立ち、思い切り首を絞めてきた。
こいつ、本気できてやがる。
普通の女だったら大人しく泣いてるもんを、こいつは軽く微笑んでやってきてんだぜ。
滅多に笑わないのに、目がとてもキラキラしてて楽しそうで。
修羅場なのに、楽しくて楽しくて仕方がないって顔してる。

こんな骨ばった女なんて所詮男には敵わない。
首を絞めてくる腕を掴むと、押し倒してさゆりさんの両腕に足を乗せ、彼女の細い首を絞めていた。
頭に血がのぼっていた俺は、力加減なんてできずに何も考えないで思い切り絞めた。
もしかしたら殺そうとまで感じていたかもしれない。
さゆりさんはそれでも微笑っていた。
が、やがて白目をむいて意識を失った。

そこまできてようやく俺は正気に戻った。
さゆりさんを抱きかかえて何回も叩いて起こした。

「おい、起きろよ、おい!」

しばらく無反応だったさゆりさんが薄目を開けて、そしてまた微笑んだ。

「・・・久々にお前と遊べた。」

震えている手で俺の頬を撫でるんだ。

と、そこでチャイムと同時に玄関のドアが激しく叩かれた。

「○○警察でーす!!開けてください!!」

110番@ご近所さん

おまわりさん2人の登場である。
慌てる俺、舌打ちをしながら服の乱れを直して玄関へ向かうさゆりさん。
何だかちょっと会話が聞こえて、おまわりさん2人がゴミだらけ+修羅場のリビングに上がり込んできた。
ついでに寝てた野郎も起きてきやがった。
犬は呆れた目で自分のベッドで寝ている。

また頭に血が上り、知らない野郎に殴りかかりそうになった所をおまわりさんじゃなくてさゆりさんに止められた。
蹴りで。
それをおまわりさんが止めて、知らない野郎はわけわからんって顔してるし、まさに修羅場だった。

知らない野郎は友達で、それを勘違いした夫が怒ったので逆上して私がやった、と淡々と説明するさゆりさん。
外傷的には顔面にくらった俺のほうが痛々しいが、長袖長ズボンで隠れてるだけでさゆりさんも無傷ではあるまい。
こんなヤツに庇ってもらうなんて嫌だと思い、俺もやり返したことを告げようとしたらまたさゆりさんに蹴られた。
おまわりさん、もうこれはこの女が悪いと決めつけたようで、「もうやめろ!!」と言ってさゆりさんを壁に向かって押さえつけた。
俺に向かってあっかんべーをちらっと見せる。

おまわりさんがしていったこと
・俺の怪我は大丈夫なのか
・3人の身分証と職業、職場の連絡先
・野郎が警察慣れしてるというか、怪しい奴だったので関係の追及
・嫁も怪しいと思ったのか部屋を簡単に捜索。
・一人犬を撫でてた
・近所迷惑という警告

おまわりさんと一緒に知らない奴も帰り、俺とさゆりさんだけになった。

さゆりさんは犬が踏んだら危ないと割れた物の掃除を始め、俺も無言でそれを手伝っていた。
割れ物を拾うとき屈んださゆりさんの服の隙間から肌が見えた。
部分部分真っ赤になって切り傷がちらほら。

「さゆりさん、消毒しよう。」

なんだかバツが悪くなった俺が言っても、さゆりさんはそれに答えなかった。
ひと通り元に戻して、破片やらを片付けるといつものようにデスクに座ってヘッドセット装着。
色々聞きたいのだが聞けない。
眠気も疲れも忘れてしまって、混乱していた頭を整理していた。

もう朝方と呼べる時間帯になっても眠れず、さゆりさんはPCをずっといじっている。
会社のこととかうんざりしていたら、さゆりさんがヘッドセットしたまま呟いた。

「届けてもらうのはもうやめよう。」

は?と力抜けした返事をすると、さゆりさんはデスク前のコルクボードをひっくり返した。

裏には色んな種類のパケが貼ってあった。
何なのかは想像にお任せする。

「てめーは!!」

と、また殴りかかろうとするとさゆりさんは両手を上げて笑った。

「静かに。」

コルクボードを元に戻すと、また爆音で音楽を聴きながら自分の世界に入ってしまった。

あぁ、もう疲れた。
ホント疲れた。

いつか絶対慰謝料とって離婚してやると、こたつの中で寂しく寝た。
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ドッペルゲンガー
人間は誰でも仮面を被っている。
たとえば友人に接する態度と上司に接する態度はまったく違うし、家族や恋人に接する態度も違うと思う。
その内どの自分が素なのか、突き詰めて考えてみるとどこにも居ない気がしないか?

さゆりさんは根暗である。
無口でいつも不機嫌で、そして粗暴で下品な女だ。
少なくとも家では。

俺の実家はマンションのすぐ近くにある。
生まれも育ちもここだし、本家もあるので親戚も近所にたくさん住んでいる。
故に親戚付き合いというのは欠かせず、月に1回は本家で集合して飲み会だ。
もちろん嫁であるさゆりさんも強制参加。

もう一度言うがさゆりさんは根暗で無口で粗暴で下品だ。



親戚からクレームがきたことは一度も無い。
羨ましがられたことは多々ある。

さゆりさんは極端に愛想がいいのである。
もう一人のさゆりさんみたいだ。
愛想がいいと一言で言っても、ただへらへら笑っているわけではない。
笑っているだけならつまらんオッサンやババァの話は右から左に流れるはずだ。
あいつはちゃんと話を聞いて反応するし、まとめ方もうまい。
下品な感じは一切しない。
手伝いも率先してやるのでなんせ評判がいい。

「ぽっちは本当にいいお嫁さんもらったねー」
「大事にしなきゃダメよ!こんないい子もう来ないわよ!」
「ぽっち、俺の嫁とトレードしない?」

おいお前ら。
ものすごい騙されてるぞ。
こいつは家で洗い物なんか絶対しないんだぞ。
風呂入ったのだって3日ぶりで
こんなに笑ってるのを見るのは1ヶ月ぶりだ。
家中ゴミだらけだし、俺は毎日カップ麺だ。
知らないだろ?なぁ知らないだろ?

そんな顔で俺が何とも言えない顔をしていると
親父に酒を注いでいた嫁と目が合った。

ニヤリ。

一瞬だけ悪魔の顔に戻り、ヒヤッとした次の瞬間、もう笑顔で親父と話していた。

ゴミ家に帰ってくると、服を投げ捨ててパソコンへ向かう。

「ああ疲れた。毎度思うけどお前の親戚アレな、キャバクラの客と同じだわ。下衆。」

何かの特集で見た。
結婚生活で言ってはいけない言葉、『親類の悪口を言わない』。
この人、もろに言ってる。ストレートに下衆って言ってる。

「下衆はお前だ!お前、家族の悪口言われたらどうなんだよ!」

さかさず突っ込むが人の話など聞くやつではない。

「何も感じませんがフヒヒサーセンwwww」

気味悪く笑うとさっさとヘッドセットを装着し自分の世界に入ってしまった。

嫁、死ねばいいのに。
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限度額オーバー
さゆりさんはヲタである。
ジャンルは、というと非常に幅広い。
消去法で数えた方が早いかもしれない。

まず腐女子のカテゴリには一切興味なし。

・・・それ以外、全部に興味ありだね。

哲学、科学、オカルト、音楽、医療、ゲーム、アニメ、小説、政治、何にでも興味をを持ち何でも知りたがる。
単なる好奇心ならまだ可愛いものだが、さゆりさんは気になりだしたら止まらないのである。

パソコンに興味を持った時は大変だった。
さゆりさんは元々パソコンに疎い方ではなかったが、せいぜい基礎的なことが分かる、応用できるといったレベルだった。
何がきっかけで好奇心に火が点いたのかは知らないが、毎日変なPCパーツを買い漁り、何の事が書いてあるのかさっぱりわからない本を読み漁り、いつもカタカタとキーボードを打っていた。

そのうち睡眠も食事も摂らなくなり、話しかけても反応がなくなった。
骸骨のような女が薄暗い部屋で話もせずもそのそ動いているのだ。

頭にきてブレーカーを落とし、いい加減にしろ、何してるんだ!と問い詰めると、半泣きになったさゆりさんは久々に口を開いた。
「○○(某ゲーム企業)にクラッキングかけるとこだったのに・・・」
・・・結局自作のPCを一台作ってさゆりさんのPCブームは去った。
その間1年。
何度か病院へ連れて行ったが、その都度「摂食・睡眠障害による栄養失調」と診断され一週間以上入院したりする。
精神科でも何度か入院、あるいは強制入院を薦められたが、さゆりさんに強制なんか俺ができるわけがない。
結局何かにはまってはこれの繰り返しだ。
うんざりする。

プラモデルにはまった時も大会に出展するんだと一日何体も作って練習していたし
オカルトにはまったら樹海から恐山まで行ってくるし
格闘技にはまったらアマレスを習いだし
ミシンを買って犬の服を作る作る。

ゲームは趣味だが、さゆりさんは酷い。
変なこだわりみたいのがあるんだろう。
まずオンラインゲームにおいて課金は厳禁。
無課金で最強を目指すのである。
ギルドにも極力入らない。
一匹狼の成り上がり、何かのゲームではちょっと有名になっていたけど、正体は旦那の飯も作らずひたすらパソコンに向かっているただのバカ主婦だ。
そしてどんなにつまらないゲームでも決してやめない。
どう考えてもクソゲなのに、サブ要素まで全てやり遂げるのだ。
そしてやったゲームがアニメ関連だったりすると、そのアニメDVDボックスで買う。
ゲーマーとしてのセンスは皆無なのだが時間の浪費でそれを補うため、格闘ゲームなどはじめは俺に歯も立たないくせに、1週間そこらで逆転されてしまう。
俺が仕事の合間を縫ってさゆりさんの機嫌を取りつつちまちま進めているRPGも、1日暇なさゆりさんに圧倒的なレベルの差がついている。

なぁ、自由って何だろうな。
ゲームもテレビもパソコンも全てさゆりさんの都合でできるかどうか決まる。
好きなものも買えない、好きなものも食えない。
さゆりさんの趣味と犬に松坂牛食わせるために生きているんだ。

一方さゆりさんはどうだろう。
毎日自分の興味のあることに勤しんで、好きな時に好きな所へ行って、ギャンブルやって薬やって。

俺、なんで彼女と一緒にいるんだろうorz
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何がしたいの?
ある日仕事から疲れきって帰ってくると、さゆりさんがいなかった。
さゆりさんが居たであろう場所は、本と服で埋まっている。
これまた家の照明は全部点けっぱなしだった。

だがおかしい。
さゆりさんがいないのも家中の電気が点けっぱなしなのもよくあることなのだが

犬がいないのだ。

犬の散歩は俺の仕事である。
毎日帰ってきて一緒にコンビニまで行くのだ。
俺を唯一出迎えてくれる犬が・・・どこにもいない。

嫌な予感がした。
部屋を確認してみる。
犬の食器、なし。
犬の服、なし。
犬のベッド、なし。
犬のリード、なし。
犬のおもちゃ、なし。

旅行用のトランクケースとボストンバッグ、なし。

あいつ・・・犬連れて出て行きやがった。
カードと通帳が、物で溢れたテーブルの上に置いてある。

・・・・ええええええええええ

おかしいだろ、俺何かしたっけ?
ソファに腰かけ、煙草に火を点けて考えてみる。
ここ最近、何かあったっけ?
いや、何もなかった。
さゆりさんはいつも通りパソコンいじるか本を読んでいた。
俺はカップ麺にお湯を注いでいた。
それだけだ。
いや・・・・まさか・・・・

「パスポート、どこやったっけ?」

確か3日くらい前にそんなことを呟いていた気がする。

ドタバタと引き出しを漁ってみる。
はい、パスポート、なし。

殺してやる!絶対殺してやる!
もしかしたら携帯に連絡が来てるかもしれないとチェックしてみたが、メールも電話も書置きもなかった。

連絡がついたのは、それから4日も経ってからだった。
毎日時間に空きができれば電話をした。
着歴は軽く100件を超えているはずだ。
ずっと通じなかったのだが、4日目の昼休み、ダメ元でかけてみたら繋がったのだ。

「あきでーす・・・」

眠そうな声で答えたのはさゆりさんの声そのものだったが、”あき”?

「てめークソ嫁!殺してやるから今すぐ帰って来い!」

俺が怒鳴った途端さゆりさんの声はがらりと変わり、「ああ、なんだお前か。」と吐き捨てた。

「何やってるんだよ!?」
「キャバクラで働いてる。」
「はぁ?どこのキャバクラだ!」
「どこだっていいだろーがww」
「犬は?」
「犬?これからサロンに連れて行きますよ?」

ぬぅぅ・・・どこまでも俺よりいい生活を送っているな、犬よ。

「どこに住んでるんだよ?」
「おまえに言ってもわかんねーよ。」
「・・・お前、また良からぬことやってんじゃねーだろーな」
「人がやることに口出すな、来月には帰るよ。じゃーな。」

切れた電話を耳に当てたまま途方に暮れた。
俺の神経も少しおかしいのかもしれない。
別にいいんだよ、キャバクラで働いてようと、なんだろうと。

さゆりさんには俺には知らない繋がりがたくさんある。
知らない、というか知りたくない、いわゆるおっかない人達とのコネが強いのだ。
だからあいつはどこにでも行く場所がある。
俺の知らない場所。俺から離れるために用意する場所。
あいつからしてみたらもしかしたらそっちの方がホームなのかもしれない。
ずっと東京の裏社会にいたんだから。

はぁーっと大きくため息をついてそばにあったゴミ箱を蹴飛ばした。
それを見ていた先輩が心配してくれたが、「帰ったら嫁がいなくて今俺の知らないところでキャバクラやってるみたいです。」なんて言えるわけないだろう?

それから1ヶ月、ほとんど連絡もない状態だった。
「明日、始発で帰るから今日は朝まで遊んでそのまま帰る。」
それを聞いて俺はすぐに都内の某クラブに乗り込んだ。
あいつが朝まで遊ぶと言ったら絶対このクラブだ。

昔俺もよく通ってたもので、セキュリティーのお兄さんが話しかけてきた。
「あれ!ぽっちさん久しぶりじゃないっすか!」
恥ずかしい話、このクラブで俺はMCをやったことがある。
「うちの嫁・・・さゆり来てる?」
「さゆりさん、今日ゲストで入ってますよ。ヒップホップのブースじゃないっすか?」
あのクソ嫁・・・ゲストでクラブ遊びだと?ここで殺してくれるわ!
「ぽっちさんもゲストでどーぞ。ねじ込んできたんですぐ入れますよ。」
「ありがとう。」

セキュリティーに礼を言って中に入る。
このけばけばしい照明も酒の臭いもくすんだ空気も爆音もずいぶん久しぶりだ。
俺がここで調子に乗って・・・あいつをひどく傷つけてから、もう二度とクラブ遊びはしないと誓ったのに。

人ごみを掻き分けて2階のブースに上がろうとすると、さゆりさんがいた。
いい年して派手な格好をして、おっかなそうなお兄さんに絡まれている。
さゆりさんの方は相手にしていないらしく、軽くもみ合いのようになっていた。

イカン、と思い階段をダッシュで登ると-

「てめーしつけーんだよ。お粗末なピーしてるくせに何でそんな自信持ってんだ?死ぬか死ねピーカスがww」

言っておくがさゆりさんは酒が飲めない。
純度100パーセントの下戸である。
酔った相手がよっぽど気に障ったんだろう。

「んだとこのブス!!!」

お兄さんがさゆりさんに掴みかかろうとする。
それでもさゆりさんは蔑んだ目を投げかけて「ブス一人落とせねー粗ピー野郎が喚いてんじゃねーよ、死ねよほら、面白いから。」

ここで俺と他のお客さん、セキュリティーが止めに入った。
1ヶ月ぶりに会ったさゆりさんは、また少し痩せてしまっていたが、いつも通り恥ずかしいやつだった。
殴りかかってきたお兄さんはセキュリティーに連れていかれ、俺らも今夜は出入り禁止になってしまった。

「よう、来てたんだ。」
ガラの悪いさゆりさんがコーヒーを買ってくれて、2人で外でそれを飲んだ。

「お前は相変わらずね。シラフであそこまで言う女は中々いないよ。」

なんかもうどうでも良くなってきた。

「寒いね」

さゆりさんが空を仰ぐ。

「うん、それに始発まであと3時間あるね。」

俺もつられて空を見上げる。

「聞きたくない?」
「何を?」
「この1ヶ月のこと。」
「お前が話してくれるならね。」
「話さねーよwプゲラ」
「じゃあ、いい。」

俺はさゆりさんの横顔を見た。
切なそうな、何をしても満ち足りてないような、そもそも何も求めてないような-
そんな横顔が可愛かった。

結局さゆりさんの知り合いに車を出してもらい、犬を連れて家に帰った。
ちなみにさゆりさんが住んでたのは家賃20万くらいする高層マンションだった。
家賃はタダで貸してもらったそうだ。

家に着いて、久々に家族そろって一緒に寝た。
俺はさゆりさんの手を強く握って。
やっぱりこいつらは、ここにいないとダメなんだ-

随分疲れてたのか、起きたのは昼すぎだった。

「さゆりさん・・・?」

今日は犬はいるが、さゆりさんの姿がまったく見当たらない。
嫌な予感がした。

旅行用のトランクケース、なし。
ボストンバック、なし。
パスポート、なし!

しかし今回は書置きがあった。

『キャバクラでけっこう稼いだのでハワイに行ってきます』

普通1ヶ月ぶりに家に帰ってきて、書置きだけしてハワイ行くか?
バカなの?死ぬの?

もう何も考えたくなくて、犬と一緒にボケっとしてた。

一週間後帰ってきた嫁は、季節外れの小麦色になっていた。

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そういうの、ありなんだ
今日は待ちに待った給料日である。
と言っても俺が貰えるのは3万円だけで、後はさゆりさん(嫁)が管理するのだが。
しかも朝昼晩、飯がないので3万はほとんど食費に消えていく。
切り詰めて切り詰めて、中古のゲームを1本買う。
俺が許されている唯一の楽しみである。

会社も明日は休みだ。
早々に帰って3万貰って近所の中古ゲームの店に行こうと、朝からハイピッチで仕事をこなしてきた。
おかげでもの凄い疲れだが、明日は1日ゲームに勤しめると思えばその疲れも心地よかった。
冬の冷たい空気の中を自転車で40分かけて家路につく。

「ただいま」

犬がぎゃんぎゃん吠えながら出迎えにきてくれた。
当然、さゆりさんは出迎えなんてしてくれない。

ちなみに犬だが、ミニチュアダックスのオス。
クレオパトラのような瞳、ふんわりしたクリーム色のイケメンだ。
名前は『犬』と書いて『いぬ』である。
もちろん俺は反対したさ。
せめて『ケン』にしてやれと。
しかしさゆりさんは「犬なんだから犬でいい」などと意味の分からないことをほざいて、結果犬は『いぬ』と呼ばないと反応しなくなってしまった。
毎日100グラム900円の肉を食っているさゆりさんの宝物だ。
余談だがさゆりさんの溺愛ぶりに相反して犬はさゆりさんが嫌いである。
きっと犬には人間の本質がわかるんだろう。

犬を抱っこしながら部屋の扉を開ける。
相変わらず家中の電気は点けっぱなしだった。
しかしいつもパソコンに向かっているか本を読んでいるさゆりさんは部屋に居なかった。
トイレにもいない。
風呂にもいない。

「ママ、コンビニ行ったのか?」

犬はパタパタと尻尾を振りながら俺の顔を舐める。
カードや通帳はさゆりさんが持っているので、俺は待つしかない。
早くしないとゲーム屋が閉店してしまうのに。

買い置きのカップラーメンにお湯を注ぎ、テレビを見ながらさゆりさんの帰りを待つ。
さゆりさんはテレビが嫌いなので、俺がテレビを見れるのはこういう時間だけだ。
テレビ、面白いのになぁ。
さゆりさんがどこまでテレビ嫌いかというと、テレビで映画のロードショーとかのCMをチラッって見て、「ああこの映画見たかったんだよね」と急いでレンタルDVD屋まで行って借りてくるのである。
これからテレビでやるのに。
テレビでやってんのに同じものをDVDで見ているのだ。
そしてCMを挟まない分さゆりさんの方がテレビでやっている放送より早く見おわる。
一瞬テレビにチャンネルを切り替え、「まだやってんのか。私はもう見たぞ、オチも知ってるぞ。テレビめ、愚かなり!フハハハハ!」とか呟いている。
ただのバカである。

なのでさゆりさんが誰かに貢がせて買ってもらった42インチの液晶テレビは、いつもはHDMIしか用が無い。
まぁ俺もゲームばっかりやってるから別に構わないのだけど。

さゆりさんが帰ってきたのは23時を回った頃だった。
お菓子がいっぱい入った袋を持って、上機嫌でパソコンに向かう。

「お帰り。どこ行ってたの?」

こいつはこっちがお帰りと言わないと、まるで誰もいないかの様に自分の世界に入ってしまうのだ。

「ん?ああ、ただいま犬。」

嫌がる犬を無理やり抱っこして頬擦りをする。
あのね、「お帰り」って言ったの俺なんだ。
さゆりさんが座ってる椅子(1日パソコンに向かっていると疲れると言って俺に無断で買った4万の椅子)を蹴飛ばし、こっちを向かせる。

「何すんだよいてーな、死ね。」
「どこ行ってたか聞いてんだよ。」
「スロットだけど?」
「給料日に、俺の給料で?」
「ええ、何か?」

こいつは・・・・
俺はギャンブルは一切やらないから分からんが、少なくとも俺らのような生活でいっぱいいっぱいの人間がやっていいものじゃないと思う。

「で?」
「で?って何?」
「勝ったの?」
「いや、負けたよ。」
「いくら?」
「3万ぐらい。」

俺の小遣いじゃねぇか!!
思わずグーで殴ってしまった。

「てめーは何やってんだ!」
「でもすごいんだよ。6万飲まれてたのに3万取り返してきたから。」

殴られた頭をさすりながら得意げに話すさゆりさん。
やっぱ困った時はジャグラーだね、とかほざいている。
6万突っ込んでそのまま負けてたらどうするんだ。

「最初1万でやめようと思ったんだけど、ムカついたから勝つまでやってやろうと思いまして。」

最終的な言い訳はコレだった。
っていうか負けてんじゃねーか。
「コレやるからもう黙っててくれる?」と、余り玉でもらってきた景品のお菓子を投げつけられた。

じゃなくて
小遣いよこせ。

翌日、起きたらさゆりさんはいなかった。
電話してもメールしても返ってこない。
俺は結局お小遣いを貰ってなかったので、新しいゲームを買いに行くこともできず掃除やら洗濯やらをしていた。

20時を過ぎた頃に帰ってきたさゆりさんは、また手にお菓子の入った袋を持っていた。
限界だ。もう限界だ。

「お前、ちょっとそこに座れ。」

ソファに座るよう促すと、さゆりさんは大人しくそこに直った。
俺は仁王立ちでこのダメ嫁に訴えた。

俺は確かに高給取りでもないし、今後そうなる見込みもない情けない男だけど。
それでもいいって結婚したのはお前だろう。
家事も仕事もしないのはまだ我慢する。
だけどせめて、俺が毎日働いて稼いだ金をそういうことに使うのはやめてくれ。

さゆりさんは大人しく聞いていたが、途中で堪えきれない様にクスクスと笑い出した。
そしておもむろに足を組むと、俺の目を真っ直ぐ見て言い放った。

「ごちゃごちゃとうるさい男ね。跪きなさい。」

ポカンとする俺に、とんでもないものを見せ付けた。
何枚あるか分からないが、万札である。
扇子の様にヒラヒラと万札で顔を扇いでいるさゆりさん。

「5号機で15万勝ちましたが何か?」

じゅ・・・

「パートで働いてる世の奥様達の給料はどのぐらいかしら?まぁこんなものじゃない?」

ぐぅと黙り込む俺に、尚もうざい口調で続ける。

「今月のお小遣い、5万にしてあげてもよくってよ?さぁ早く跪きなさい。」

俺が半月一生懸命働いたのと同じ金額を、ボタン押すだけで1日にして稼いでしまうのか。
恐るべしギャンブル。
だがしかし俺にもプライドがある。

「てめーと世の奥様方を一緒にするんじゃねーよダメ嫁が!」
「あらあら、虚勢はっちゃって可愛いわね。」
「だいたいそれ俺の金で儲けたんだろうが!出資者に還元すんのは当たり前だろ!」
「だから正直に勝ったことを報告してあげてるんでしょ?負けたって言えばこれ全部独り占めできるもん。」
「人間性を疑うね。」
「はい、さーん、にー、いー・・・」
5万下さい!!
「あー疲れた、肩揉んでくれる?」

凄い惨め。
凄い惨めだけど、今月は新しいソフト買える。

後日談だが、犬が松坂牛食ってた。
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真中 ぽっち
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・馬鹿
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さゆりさん
・真中 さゆり
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限界だ、もう限界だ
15時間働いて帰ってきた。
不況の中高学歴でも資格があるわけでもない俺のようなやつは、残業代も出ないケチな会社で朝から晩まで働かないと生活ができない。
休みは月に4日、貯金もない。
毎年減っていくボーナス、昇進の見込みもない。
将来への不安は絶えないし、そもそも将来なんて言える歳でもない。
30代はもうすぐそこだ。
この歳で地盤ができあがってないというのは、すなわち負け組みコースを順調に進んでるってことだ。
別に珍しくはないだろう?
俺のような連中は腐るほどいるはずだ。

それでも実家暮らしだったらまだ気が楽かもしれない。
僅かな自由時間を充実させたりできるのかもな。
でも生憎俺には家庭がある。
といっても結婚しているというだけで、子供がいるわけでもないが。

問題は-
嫁である。

15時間働いて帰ってきた。
今日も上司に詰められた。
今日も部下がヘマをした。
残業してもノルマには遠かった。

疲れきった声で「ただいま」と玄関を開けると、犬がうるさく吠えて出迎えてくれる。
わんわん。わんわんわんわんわんわん。
わんわんわんわんわんわんわんわんわんわん!

うるさい。
時計は22時を回っている。非常にうるさい。
だがこいつはこれでいいのだ。
出迎えてくれるだけ嬉しい。

玄関の電気は点けっぱなしだった。
玄関だけではない。
廊下も、台所も、トイレも風呂場も洗面台も部屋も、照明という照明が点けっぱなしだった。
まぁいい、ゴミだらけで何を踏むかわからないからな。
犬も俺の周りをクルクル跳びまわろうとしているがゴミに阻まれている。
小汚い犬は家中のゴミと相なしてさながら捨て犬である。

一番奥の部屋の扉を開ける。
テレビが点いていた。
テレビが点いているのはわかる。

問題はなぜ消音にして、しかもPS3のログイン画面になっているかだ。
台所の炊飯器は”保温時間22h”になっていた。
テレビ台の横のこれまた散乱しきったパソコンデスクからは、リピート再生しているであろうニコニコ動画のボーカロイドメドレーがヘッドフォンから流れている。

部屋は脱ぎ捨てたままの服と読みっぱなしの本で敷き詰められていた。
コタツももちろんぬくぬくだ。
エアコンもガンガン効いている。
エコの欠片もない。
この家の電気代は月に2万を超すことが多々ある。

そして部屋の隅でこれまた本に埋もれるようにヤツが寝ていた。
口を開けて、すーすーと気持ち良さそうに寝ていた。
手には読みかけの本が握られていた。
なぜダブルサイズのベッドが人一人眠るスペースしか確保されていないのだ。

軽く蹴飛ばして起こす。
「おい、旦那帰ってきたぞ。」
これがパートでもして家計を支える主婦ならば起こすのは躊躇うだろうが、こいつはいいのである。
だって着てる服、3日前と同じだもん。

「んー・・・」と微かに反応して気だるそうに身体を起こす。

「あー腹減った。飯は?」

ゴシゴシと目を擦りながらヤツは言った。

「食ったよ?」

お前じゃねぇよ。

「そうか。あのね、俺の飯な。」

「ないよ?」

開き直るでもバツが悪そうにするわけでもない。
”なんの話?”って顔して平気で答える。

「っていうか」

時計を確認しながらヤツが言う。

「起こすんじゃねーよ。」

これである。
15時間汗水流して働いて帰ってきた旦那に、「お帰りなさい」の一言もなく「起こすんじゃねーよ」と平然とのたまう、コイツが俺の嫁である。

「飯なら炊飯器にあんだろーがよ。」
「・・・・保温時間22時間の飯?」
「腐っちゃねーよ。」
「おかずは?」
「あー・・・納豆あるんじゃね?」
「ねぇ、いい加減ぶっ飛ばしていい?」
「まんま返すわ。こっちは3日ぶりに眠れたんだよ、起こすんじゃねーよ!」

もういい。何を言っても無駄だ。
俺は服を着替えて犬と一緒にコンビニへ向かった。
ああ、もうコンビニの弁当制覇しちゃったなぁ・・・
帰ると嫁はもう寝ていた。

シャワーを浴びてカップラーメンにお湯を入れている時、ゴミ箱にステーキのパックが捨ててあった。
嫁は菜食主義である。
この家で肉を食べるのは俺と犬だけだ。
ステーキのパックには”国産牛ヒレ100グラム900円”と書いてあった。
おもむろに犬の腹を触ってみる。
パンパンに膨れていた。
お前、いいもん食ってるなぁ。
最後に牛肉を食べたのはいつだったろう。

ラーメンができあがるのを待ちながら、俺の唯一の楽しみであるゲームを起動させてソファに腰掛ける。
やっと訪れる安息の時間。
今日はまだ早く帰ってこれたから、2時間はプレイできるな。
と思ったのもつかの間、安息の時間はカップ麺が出来上がる前に終わってしまった。

「だからうるせーんだよ!ゲームすんならヘッドフォンしろハゲが!あと電気消せ!」

罵声とともに嫁の蹴りがソファーを揺らした。
言い返そうかと思ったけどやめた。
大人しく電気を消し、消音にしたままテレビに切り替える。
うーん、音がないテレビ、全然面白くない。

ゲームもテレビも諦めて、パソコンデスクに腰掛ける。
大好きな格闘技の動画でも見ようと、ヘッドフォンを装着しマウスを動かす。
まずこのうるさいボカロのメドレーを消さなければ。
パッと表示された画面はタブが3つ開かれていた。
ひとつはニコニコ動画。ひとつは猟奇殺人の事件のまとめサイト。そしてもうひとつは、某検索サイトの検索結果だった。
検索されたワードがデカデカと表示されていた。


旦那 死ねばいいのに


そしてそのワードに引っかかったリンクの数々。
もうダメだ。もうダメだ。大切なことなので2回言いました。

「てめー起きろ!」
「なんだようるせーな!」
「うるせーじゃねぇ!なんだよコレ!」
「んぁ?」

検索サイトのページを見せて睨み付ける。

「ああ、それね。」

またしても平然と嫁が答えた。

「ちょっと調べ物してて、別に死ねばいいとまでは入力してないよ。”旦那”まで入れたら予測で”死ねばいいのに”が一番最初に出てきただけ。」
「何を調べようとしてたんだよ。」
「本当は”旦那 給料低い”って入れようとしたんだけど。」

最悪だ。この嫁最悪だ。

「じゃあもう起こすなよ。」

限界だ。もう限界だ。
一人でラーメン(シーフードヌードル)をすすりながら泣きそうになった。
追々記そうと思うが俺には味方がいない。
唯一犬が哀れみの目でこちらを見て尻尾を振っているが、犬が座っているクッションは2万もしたフカフカクッションである。

俺は決めた。
嫁、死ねばいいのに。
せめてもの発散としてここに嫁の傍若無人ぶりを記すことに決めた。
アカウントにはパスをつけたが、妙に勘の鋭い嫁だ。
仕事用に使うからと、俺専用のノートパソコンを買った。

つまりこの日記は俺の唯一の発散場所である。

ああ、今日もラーメンがうまい。

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