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嫁 死ねばいいのに
旦那 死ねばいいのに って検索してたこいつ
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限界だ、もう限界だ
15時間働いて帰ってきた。
不況の中高学歴でも資格があるわけでもない俺のようなやつは、残業代も出ないケチな会社で朝から晩まで働かないと生活ができない。
休みは月に4日、貯金もない。
毎年減っていくボーナス、昇進の見込みもない。
将来への不安は絶えないし、そもそも将来なんて言える歳でもない。
30代はもうすぐそこだ。
この歳で地盤ができあがってないというのは、すなわち負け組みコースを順調に進んでるってことだ。
別に珍しくはないだろう?
俺のような連中は腐るほどいるはずだ。

それでも実家暮らしだったらまだ気が楽かもしれない。
僅かな自由時間を充実させたりできるのかもな。
でも生憎俺には家庭がある。
といっても結婚しているというだけで、子供がいるわけでもないが。

問題は-
嫁である。

15時間働いて帰ってきた。
今日も上司に詰められた。
今日も部下がヘマをした。
残業してもノルマには遠かった。

疲れきった声で「ただいま」と玄関を開けると、犬がうるさく吠えて出迎えてくれる。
わんわん。わんわんわんわんわんわん。
わんわんわんわんわんわんわんわんわんわん!

うるさい。
時計は22時を回っている。非常にうるさい。
だがこいつはこれでいいのだ。
出迎えてくれるだけ嬉しい。

玄関の電気は点けっぱなしだった。
玄関だけではない。
廊下も、台所も、トイレも風呂場も洗面台も部屋も、照明という照明が点けっぱなしだった。
まぁいい、ゴミだらけで何を踏むかわからないからな。
犬も俺の周りをクルクル跳びまわろうとしているがゴミに阻まれている。
小汚い犬は家中のゴミと相なしてさながら捨て犬である。

一番奥の部屋の扉を開ける。
テレビが点いていた。
テレビが点いているのはわかる。

問題はなぜ消音にして、しかもPS3のログイン画面になっているかだ。
台所の炊飯器は”保温時間22h”になっていた。
テレビ台の横のこれまた散乱しきったパソコンデスクからは、リピート再生しているであろうニコニコ動画のボーカロイドメドレーがヘッドフォンから流れている。

部屋は脱ぎ捨てたままの服と読みっぱなしの本で敷き詰められていた。
コタツももちろんぬくぬくだ。
エアコンもガンガン効いている。
エコの欠片もない。
この家の電気代は月に2万を超すことが多々ある。

そして部屋の隅でこれまた本に埋もれるようにヤツが寝ていた。
口を開けて、すーすーと気持ち良さそうに寝ていた。
手には読みかけの本が握られていた。
なぜダブルサイズのベッドが人一人眠るスペースしか確保されていないのだ。

軽く蹴飛ばして起こす。
「おい、旦那帰ってきたぞ。」
これがパートでもして家計を支える主婦ならば起こすのは躊躇うだろうが、こいつはいいのである。
だって着てる服、3日前と同じだもん。

「んー・・・」と微かに反応して気だるそうに身体を起こす。

「あー腹減った。飯は?」

ゴシゴシと目を擦りながらヤツは言った。

「食ったよ?」

お前じゃねぇよ。

「そうか。あのね、俺の飯な。」

「ないよ?」

開き直るでもバツが悪そうにするわけでもない。
”なんの話?”って顔して平気で答える。

「っていうか」

時計を確認しながらヤツが言う。

「起こすんじゃねーよ。」

これである。
15時間汗水流して働いて帰ってきた旦那に、「お帰りなさい」の一言もなく「起こすんじゃねーよ」と平然とのたまう、コイツが俺の嫁である。

「飯なら炊飯器にあんだろーがよ。」
「・・・・保温時間22時間の飯?」
「腐っちゃねーよ。」
「おかずは?」
「あー・・・納豆あるんじゃね?」
「ねぇ、いい加減ぶっ飛ばしていい?」
「まんま返すわ。こっちは3日ぶりに眠れたんだよ、起こすんじゃねーよ!」

もういい。何を言っても無駄だ。
俺は服を着替えて犬と一緒にコンビニへ向かった。
ああ、もうコンビニの弁当制覇しちゃったなぁ・・・
帰ると嫁はもう寝ていた。

シャワーを浴びてカップラーメンにお湯を入れている時、ゴミ箱にステーキのパックが捨ててあった。
嫁は菜食主義である。
この家で肉を食べるのは俺と犬だけだ。
ステーキのパックには”国産牛ヒレ100グラム900円”と書いてあった。
おもむろに犬の腹を触ってみる。
パンパンに膨れていた。
お前、いいもん食ってるなぁ。
最後に牛肉を食べたのはいつだったろう。

ラーメンができあがるのを待ちながら、俺の唯一の楽しみであるゲームを起動させてソファに腰掛ける。
やっと訪れる安息の時間。
今日はまだ早く帰ってこれたから、2時間はプレイできるな。
と思ったのもつかの間、安息の時間はカップ麺が出来上がる前に終わってしまった。

「だからうるせーんだよ!ゲームすんならヘッドフォンしろハゲが!あと電気消せ!」

罵声とともに嫁の蹴りがソファーを揺らした。
言い返そうかと思ったけどやめた。
大人しく電気を消し、消音にしたままテレビに切り替える。
うーん、音がないテレビ、全然面白くない。

ゲームもテレビも諦めて、パソコンデスクに腰掛ける。
大好きな格闘技の動画でも見ようと、ヘッドフォンを装着しマウスを動かす。
まずこのうるさいボカロのメドレーを消さなければ。
パッと表示された画面はタブが3つ開かれていた。
ひとつはニコニコ動画。ひとつは猟奇殺人の事件のまとめサイト。そしてもうひとつは、某検索サイトの検索結果だった。
検索されたワードがデカデカと表示されていた。


旦那 死ねばいいのに


そしてそのワードに引っかかったリンクの数々。
もうダメだ。もうダメだ。大切なことなので2回言いました。

「てめー起きろ!」
「なんだようるせーな!」
「うるせーじゃねぇ!なんだよコレ!」
「んぁ?」

検索サイトのページを見せて睨み付ける。

「ああ、それね。」

またしても平然と嫁が答えた。

「ちょっと調べ物してて、別に死ねばいいとまでは入力してないよ。”旦那”まで入れたら予測で”死ねばいいのに”が一番最初に出てきただけ。」
「何を調べようとしてたんだよ。」
「本当は”旦那 給料低い”って入れようとしたんだけど。」

最悪だ。この嫁最悪だ。

「じゃあもう起こすなよ。」

限界だ。もう限界だ。
一人でラーメン(シーフードヌードル)をすすりながら泣きそうになった。
追々記そうと思うが俺には味方がいない。
唯一犬が哀れみの目でこちらを見て尻尾を振っているが、犬が座っているクッションは2万もしたフカフカクッションである。

俺は決めた。
嫁、死ねばいいのに。
せめてもの発散としてここに嫁の傍若無人ぶりを記すことに決めた。
アカウントにはパスをつけたが、妙に勘の鋭い嫁だ。
仕事用に使うからと、俺専用のノートパソコンを買った。

つまりこの日記は俺の唯一の発散場所である。

ああ、今日もラーメンがうまい。

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